活動実績

2025.07.14
法制度研究部会

第7回法制度研究部会

第7回法制度研究部会報告

 日時:2025年5月15日 18:00~20:00
    ZOOMによるリモート開催 

■テーマ:第17回(令和7年2月10日)、第18回(令和7年4月3日)開催の意匠制度小委員会の議事紹介・意見交換

[議題]
・仮想空間におけるデザインに関する意匠制度の在り方について

[資料]
第17回 意匠制度に関する検討課題について
https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/isho_shoi/document/17-shiryou/03_shiryo-1.pdf

第18回 意匠制度に関する検討課題について
https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/isho_shoi/document/18-shiryou/03_shiryo-1.pdf

[議事録]
第17回
https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/isho_shoi/document/index/isyou_17gijiroku.pdf

第18回
https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/isho_shoi/document/index/isyou_18gijiroku.pdf

■スピーカー:田中咲江会員(日本弁理士会意匠委員会委員長として小委員会に随行)
■ゲストスピーカー:松本直子弁理士(意匠制度小委員会委員)

■研究会の概要
田中会員から意匠制度小委員会第17回及び第18回において事務局から提示された資料の説明があり、その後、スピーカーとゲストスピーカーとでの質疑応答が開始され、そこに参加者からチャットを利用しての質問が入り、それにゲストスピーカーが対応するカタチで進行した。
以下に、質問項目、意見を記載します。
・著作権との重畳が生じる。どのように調整するのか。
・リアル世界では、「模倣」の相手はライバル会社。仮想空間ではライバルにとどまらない。プレイヤーの数が全く異なる。
・著作権は依拠性などの立証に時間がかかる。登録があっほうが分かりやすい?
・意匠法が何を保護するか(著作権に入っていかないように)を考える必要がある。
・意匠と著作物を明確にわけるのは難しい。
・登録があった方が調べやすい。
・著作権や不正競争が重畳適用されたとしたら、どんな問題が懸念されるのか?
・画像の機能は何? 登録されている意匠としての用途機能から見るのか?
・仮想空間における「物品」の形状は、現実における用途・機能の縛りはないのであり、「実用品のデザイン」とは違うのではないか。著作物ということはできないか。
・仮想空間の画像であっても、実用品として現実世界で使えるものは「応用美術」ということができるのではないか。
・資料37頁の画像はどうなのか。現実世界では再現できそうにない、実用品ではないので著作物になるのではないか。

画像3.png

・物品「等」の「等」には建築、画像、内装も含まれる解釈で良いか?
・「現実空間に存在するか明らかではない物品等の形状等を表した画像」も保護し得るものとして想定されているようですが(37枚目)、どのように用途・機能を特定し、それらが共通していると判断することにしているのでしょうか(42枚目では、用途機能に基づいて効力範囲を限定するつもりのようですので当然問題になるかと...)
・知財法学者へのヒアリング結果において、保護の重なり合いのところで「意匠法による保護が望ましいかという観点が重要」という意見があったようで(17枚目)、他の法的手段での対応(特に著作権や不競法3号で済ませることも十分あり得る)も想定されるところ、諸外国との比較が資料によれば意匠制度に限定されているようなのですが(23枚目)、著作権保護についての調査は何かしら行われる予定なのでしょうか(行われたのでしょうか)。他の制度との比較の上で意匠法が好ましいという結論を導くべきではないか。

(17枚目)

画像1.png

(23枚目)

画像2.png

・仮想空間への権利行使方法としては、プラットフォーマーへの削除申請みたいなものが想定されるのか?
・プラットフォーマーのリテラシが上がってこないと、実効が出せないし、過剰反応も怖そう。
・仮想空間で、機能用途を定義するのって、ナンセンスですよね。ゲームの画像等は機能がどんどん増えていく。
・アバターの用途機能:依り代?
・意匠法は、用途・機能を得るための造形(=物品の形状)を保護してきた。今保護している画像も同様。しかし、仮想空間の画像は「用途・機能」を得るための造形とは言えない。
・伝統的な意匠法が保護する対象とは根本的に違うのではないか。
・画像意匠については必ずしも「用途・機能を得るための造形」ではないかもしれません。どんな画像であれ、タップすればソフトウェアが起動するような機能が与えられていれば操作意匠になりますので。
・仮想空間内の「譲渡」とは?
・アテンションを集めるだけでもマネタイズできる可能性は十分あるので、自己使用目的で自分で画像を作出した場合の「業として」要件の扱いが気になりました。
・3Dモデル以外のデータに基づいて表示される画像は保護されないとありますが、仮想空間でのビジネスは発展途上だと思います。どのようなものかは想定できないですが、この時点で限定してよいのでしょうか。
・保護対象からコンテンツを除外しようと頑張った結果が、3Dデータ限定ということでしょうかね・・・
・そんな感じがしますね。とはいえ、「現実空間に存在するか明らかではない物品等の形状等を表した画像」は保護するということだそうで、これは著作権の依拠の世界で扱われるものではないのかなという気がするので、何を遠慮して、何を遠慮しないのかよく分からないです。
・法域超えて、何を護るのか?をぜーんぶ出して、それらをどの法域で守るのかを相談しないと、結論を得るのは難しそう。

以上

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