活動実績

2023.09.25
法制度研究部会

第5回法制度研究部会

第5回法制度研究部会報告
日時:2023年8月22日 18:00~20:00
   ZOOMによるリモート開催
   参加者:16人

テーマ
 1.「創作者認定ガイドライン」に関する意見交換(1時間半程度)
 2.分科会テーマの検討(30分程度)  

■ テーマ1「創作者認定ガイドライン」に関する意見交換
◆ テーマ設定の背景(進行)
分科会3において、過去3年間にわたって「物品」「建築物・内装」「画像」の意匠の創作者の認定について検討し、3本のガイドライン案を公表してきた。この成果を基礎として、非会員を含む分科会参加者以外を含めた検討の場を用意した。

「物品」と「画像」に絞ってまとめた資料について説明した後、意見交換を行った。結論を出すことを目的とするものではなく、意見交換によって参加者個々の考えを深める契機とすることを目的とした。

◆ 検討
(1)物品の意匠におけるコンセプト提案者の扱い
下掲の事案に基づいて意見交換を行った。

図1.png

出典:「ウラからのぞけばオモテが見える」 (佐藤オオキ, 川上典李子 。日経BP)

主な意見は以下の通り。
(言葉だけの提案をした者は創作者になりえるか)
・「動物の尾の形にする」ことを「言葉だけ」で提案した場合は、創作者にはならない。意匠は物品の形状であるから、形状の提案がなければ足りない。
・言葉だけであっても、「動物の尾の形にする」ことが斬新な提案であれば、創作者になりえる。
・「動物の尾の形にする」ことは単なるアイデアではないか。
・アイデアではなく、「デザインコンセプト」と捕らえると違ってくるのではないか。
・具体的なそれそれの意匠が、関連意匠として登録される場合はどうか。
・関連意匠として登録されているとの発言があり。(基礎意匠:意匠登録第1437384号)
・その場合は、言葉だけでも創作者になりえるように思う(賛同者多数)。

 (スケッチの提案をした者は創作者になりえるか)
・スケッチを描いていれば創作者であろう。
・細かく見ると、スケッチと具体化したものとは尾の形に違いがあるがどう考えるか。
・それは同一性の範囲とみて良いのではないか。

(2)画像の意匠におけるフレーム意匠と実装意匠
下掲の事案に基づいて意見交換を行った。

図2.png

(実装意匠とフレーム意匠との関係)
・実装意匠は、特許で言えば実施例であり、フレーム意匠はそれを抽象化した「請求の範囲」ということができる。実装意匠の創作のみに寄与した者もフレーム意匠の創作者としてよいのではないか。
・特許は、実施例が発明されるが「請求項の発明」が発明されることはない。特許の請求項は権利化のために作られるものであるが、意匠はフレームの意匠が創作された後に実装意匠が創作されるので、同じに考えることはできない。
・意匠においても、フレームの意匠と実装意匠とが同時進行で創作されることもある。
・実装意匠の出願を検討するときに、抽象化してフレームの意匠を出願する場合もある。その場合は特許と同じように考えられるのではないか。
・その場合であっても、フレームの意匠には実装意匠は存在しないのだから、実装意匠の創作のみに寄与した者は創作者にならないであろう。

 ■ テーマ2 分科会テーマの検討 
以下二つのテーマが提示されたが、参加者から格別の意見は表明されなかった。
・デザイナーの権利を考える(提案者:峯唯夫)
・AIによる意匠創作の法的検討

                                        以上